歯科治療がどんなに進歩しても、ご自身の歯に勝るものはありません
薬やワクチンにも作用、副作用があるように、インプラント、入れ歯ともにメリット、デメリット、リスクがあり、 100%メリットしかないという歯科治療は存在しません。
歯科治療がどんなに進歩しても、ご自身の歯に勝るものはありません。
そのためいろいろなことを考えて治療に臨む必要があります。
どの様な方法で治療を進めるかを検討するに際しては、現状のことももちろんですが、将来的な問題(場合によっては要介護になった時)も視野に入れておく必要もあります。
口腔内の状態は人それぞれ、患者さんご自身が何を重要視されるかで、治療の選択が変わります。
また欠損(歯の抜けた)の状況では全てにインプラントを用いるとリスクが上がることが懸念される場合は、義歯とインプラントを 組み合わせた治療方法も存在します。
従って、一概に義歯がいいとかインプラントがいいなどは、言い切ることが出来ませんし、歯科医院によっても考え方がかなり変わるところがあると思われます。
以下に一般的なインプラント、義歯治療のメリット、デメリット、リスクを記載します。
それを踏まえて当院の考え方を記載します。
インプラント | 義歯 | |
メリット | ・天然歯に近い感覚 ・動かない ・取り外ししなくていい→煩わしさがない |
・取り外しできる。→修理・清掃が可能 ・インプラントより費用を抑えることが出来る。 ・口腔内の変化に対応しやすい。 ・外科処置は一般的には不要 →全身状態の影響はインプラントより少ない |
デメリット | ・本数が多い場合高額になる。 ・全身の健康状態の影響を受ける ・後々に他部位での欠損が生じた場合の対応に苦慮することがある (口腔内の変化への対応困難) ・外科処置が必要である。(リスクでもあり) ・トラブルが起こった場合の対応が困難 |
・人によっては異物感が大きく装着に支障が出ることもある ・外れたり、動く可能性がある。 ・見た目の問題 ・慣れるまで発音がしにくい、歯肉に当たって痛い。 |
リスク | ・インプラント周囲で炎症を起こしたり、脱落してしまう可 能性もある。(人によっては一生持つということはない) ・通院できない状況(要介護など)になった場合に対応が困 難 ・インプラントシステムが多種類あるため、施術医院以外で はトラブル対応が困難の可能性 |
・紛失、破損の可能性 ・動きの大きい義歯、たわむ義歯では、自身の顎骨がやせてしまう→難症例化 |
私見
治療方法を選択する場合には、将来的なリスクをどう考えるかが大切です。まずは年齢に関してですが、現在は人生100年時代といわれます。
仮に要介護の期間が10年間あったとすれば、インプラント入れている場合にメインテナンスやトラブルの対応など大きな問題が出ます。
高齢の方はお身体の問題も絡んできますのでインプラントを選択されることは、あまりお勧めはできません。
リスク回避という観点に立てば、義歯の方が優れていると思われます。
次に欠損された歯数が多い方は、全てをインプラントで治療される場合は、必要な本数が多くなることが予想されます。
つまりその分、リスクや費用が上がります。
まずしっかりと入れ歯を製作する方が、費用・将来的なリスクの低減にはつながると考えます。
1本~3本程度の欠損で他の歯の状況に問題がなければ、インプラントは有利です。
逆に小型の義歯を製作する場合は、安定面や取り扱いに問題が出る場合もあります。
ただし治すべき治療部位以外の歯にも問題を抱えている場合は、将来的に次々にインプラントの本数が増える可能性が出てきます。
欠損が大きい場合、義歯とインプラントを両方利用した方法もあります。(義歯の欠点である安定感を少数本のインプラントで補完する)
口腔内の状況をよく調べて、広い視野そして長期的な視点から、セカンドオピニオンも含めいろいろな角度から考えて、ご自身に合う方法を選び取る必要があります。